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ヒートアイランド研究1

ヒートアイランド研究 工学院大学中島先生に聞く

Part2 ヒートアイランド対策は、知ることから始まる。

ヒートアイランドの解消のために、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか?

「さきほどあげたように、原因の方はだいたいわかっています。ところが、どういった対策が最も効果的かは専門家の間でも意見が分かれていて、調査・研究を重ねている段階です。昨年も複数の大学による共同調査で、東京の汐留近辺の再開発でどのような環境変化が起こっているかを調べる計測が行われました。こうした実態調査をもとに、計測・予測手法の開発も行いつつ、対策が研究されています。

ちなみに、計測というと気象庁のアメダスを思い浮かべる人も多いと思います。しかしアメダスは気象観測を目的としているので、計測地点は東京都区部で5点しかありません。これだけではヒートアイランドの解明にはつながりません。一定の範囲内での細かな計測の積み重ねが必要となります。また、ビル街の人工排熱を細かく調べて問題を解析し、ヒートアイランド対策を考えようという実態調査も行われています。

先生がアドバイザーをされていた『万博アメダス』※ではNECの無線センサーネットワークシステムが使われていましたが、なぜこれが選ばれたのでしょう。

「NECの無線センサーネットワークシステムを知ったのは、茨城県の霞ヶ浦においていくつかの小学校が地域の環境計測に役立てている『アサザプロジェクト』のことを、偶然新聞記事で見たのがキッカケでした。

無線センサーネットワークシステムのメリットとしては、太陽電池によって自立電源で動くということと、ケーブルなどによるネットワークの構築が不要なこと、そしてリアルタイムに計測できる点が良いと思いました。これまではユニットになっている計測器が少なく、大がかりな仕掛けになりがちでした。無線センサーネットワークシステムはコンパクトなので、細かな計測を行うのに適していると思います。もちろん、計測器を持って測りに行くためのマンパワーを割かなくて済む分、分析に時間をかけられるのも良いですね。」

※「万博アメダス」とは

(財)2005年日本国際博覧会協会が開発・運用していたシステム。

愛・地球博の長久手会場内の約20ヶ所にセンサーを設置し、10分おきに観測した温度・湿度・CO2濃度などの環境データを自動的に収集、インターネットを介して公開していました。

万博アメダス』では、実際に計測してみてどんなことがわかりましたか。

舗装素材例
図1 舗装素材例

「今、私は環境への負荷が少ない舗装素材(図1)の研究も行っているのですが、舗装素材には、従来のアスファルト・コンクリートの他に、水を通しやすい透水性のもの、保水性のあるもの、あるいはその両方の特性を持ち合わせたものがあります。『万博アメダス』では、まさしく舗装の違いによる温度変化の違いなどを知ることができます(図2) 。

各種地表面温度と気温・水温の比較
図2 各種地表面温度と気温・水温の比較

この無線センサーネットワークシステムを使って都市部の細かい環境情報を収集することで、新しく団地を建てるときにどのような配置にすれば良いか、建物を建て替えるときにどのようなしくみにすればいいか、あるいは道路を舗装する時にどのような素材を使えばよいかなどの対策がとりやすくなります。ヒートアイランドの解消には、こうした一歩一歩の積み重ねが重要になってくるのです。

また、『万博アメダス』のように身近な環境情報を観測し、一般の方に知ってもらうことで、環境への意識が高まる効果も見込めます。」

今後の展望についてお聞かせください。

「無線センサーネットワークシステムを活用した計測という点でいえば、私が講師を務めている工学院大学がある新宿の高層ビル街の観測をしてみたいですね。さらにシステムそのものも、無線のスピードが速くなり、より多くの計測器が接続できるようになると、より詳細にいろいろな環境情報を収集できるので、今後に期待したいですね。建物の微振動や都市の騒音の研究者など、異分野どうし共同で計測を行うといった可能性も広がると思います。」