

2007年のノーベル平和賞を受賞したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化に関して世界の研究者が研究した結果を集め、それを評価する活動で、我々日本の研究グループも貢献しています。今回、注目を集めた第4次報告で画期的だったのは、WCRP(世界気候研究計画)という国際共同計画のもとで、世界12カ国の17の研究グループが、それぞれの開発した気候モデルを用いて、同じシナリオで温暖化予測計算を行ったことです。
その中で我々のグループは、幸運にも地球シミュレータ(当時世界最速のNEC製スーパーコンピュータ)を良いタイミングで利用できたことで、世界で一番高い解像度で予測計算を行うことができました。
プロジェクトは、2002年、地球シミュレータの誕生とほぼ同時にスタートし、まず気候のモデルをより現実に近づける作業を行った後、2004年から本番の計算をスタートさせました。最初は1900年から現在までの気候変動の条件をインプットして過去の気候変動が実際にシミュレータ上で再現できることを確認し、その後、いくつかの将来のシナリオを与えて予測しました。
全ての計算をあわせると500年分にもなり、同年夏に計算が終了しました。
その計算結果を、時間をかけて解析・検証して論文にし、IPCCの報告書のもととなる研究結果をまとめました。
これまでも、いろいろなところで温暖化シミュレーションの研究が行われていたのですが、これほど組織的かつ世界的に連携して研究が行われたのは今回がはじめてでした。その結果、すべてのグループで、20世紀は人間活動のせいで温暖化に向かっていたという計算結果が出て、自然現象としての「ゆらぎ」***だけでは説明しきれない温暖化傾向が明らかになったのです。そして、IPCCの最終報告でも人為的影響により温暖化している可能性がかなり高い(90%以上)という声明が出されました。