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英語でjapanと訳される漆(うるし)。その漆は現在発見されている塗料の中で、ウレタンなどと比べても圧倒的な強さを誇るのです。酸にもアルカリにも硫酸、硝酸、塩酸にも強く、金さえも溶かすという王水でも溶けません。ガラスを溶かすフッ化水素にも漆は耐えることができるのです。なおかつ、金属や土と混ぜることで、地球上のあらゆる色を発色することが可能です。とりわけ重要なのは、これが数千年もつということ。今、漆器は三内丸山というところをはじめ、全国の遺跡から出ていますが、5,500年前とか6,000年近く前のものが、いまだにきれいな色のままで出土されています。こうした漆器を守り受け継いできた日本の技術、伝統というのは相当に深いものがあるはずです。一方で、近年の日本のロボット技術は世界の先端を行きつつあります。これも実のところ、縄文時代からさまざまな技術を蓄積してきた物づくりに対するある種の感性が身に付いているからこそ、と言えるかもしれません。
さて、本題にもどりましょう。「循環型社会を実現するためには、まず人を再生すべきである」という点です。まず、皆さんに日本固有の技術や伝統、自らの知識に自信をもって、循環型社会のあり方を世界に発信し、その牽引役を担っていただきたいという思いを前置きしたいと思います。
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水の地球といわれる地球に、果たして飲用・工業用に使える水はどれくらいあるのでしょうか。あるデータでは、地球上の水のうち97.5%は海水。陸上で得られる水が、たった2.5%。しかもその90%以上が氷雪などで、地表にある水は0.25%しかないといいます。しかも実際に使える水は0.01%程度。水の惑星でありながら、人類が使える水は極めて少ないのです。そのきれいな水は、実のところ森からやってきます。天然のダムである森林があれば雨の50%以上の水を保水してくれますが、樹木のなくなった山の斜面では、5%を除いて95%が蒸発してしまうといいます。つまるところ、水の惑星は同時に森の惑星でもあることを認識してください。また空気をつくるのにも樹木は大きな役割を果たしています。人間がじっとしたまま呼吸するだけでも、CO2を吸収し酸素を作り出す循環器として、15?16本の樹木を必要とします。ところが文明社会の中でさまざまな活動を続けているため、酸素をより多く使い、より多くのCO2を出しているのです。その傾向は、文明国になればなるほど顕著です。それを試算すると、日本人は1人当たり300本程度。アメリカでは実に1人当たり500本程度の木が必要とされます。それを考えれば、日本人としては、1人当たり300本ぐらい木を育てる義務があるのです。それで初めてCO2の問題が解決されるのです。今や地球環境は、そういう逼迫した状態にあることを認識しておくべきではないでしょうか。
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環境をよくする3つのポイント。それはまず技術の問題。技術開発をするということです。2番目に、人間の意識改革をすること。環境をよくしようという気持ちをつくらなくてはなりません。その気持ちを生み出した上で社会システムを変えていけるのです。この3つのことができれば環境問題は解決するのではないでしょうか。この中で、燃料電池など、技術の問題はだんだんクリアしつつあります。ITの進展で、さまざまなムダがなくなっています。問題は、やはり意識改革なのではないでしょうか。意識改革ができれば必然的にシステムの改革もできるはずです。だからこそ、私は循環型の社会の解決策は人の再生だと言いつづけています。人がかつて自分の中にあった、いいバランス感覚、これを持ち直すということで、今後の生き方は必然的に決まっていきます。
残念ながら大体の人は、バランス感覚を失っています。プラスチックと金属と人工物ばかりに囲まれたままでは、バランス感覚を失うのも当たり前かもしれません。日本はこの10年にほとんど経済発展もしていない中で膨大なエネルギーを使い、ゴミは増える一方。これは、もちろん技術の問題が、まだ遅れているという問題もありますが、やはり意識の改革こそが急務であると確信して
います。意識的にごみを減らしたり、本当にエネルギーを使わないようにしていく、自然に対して負荷をかけない、あるいばかけた分は、例えば植林するとか、水を汚さないとか、環境再生のために働く---これを一人一人が真剣に実践しなくてはならない時代に来ていると言えるのではないでしょうか?
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●稲本 正氏
稲本氏は1974年、岐阜県清見村にオークヴィレッジを創設。以来、工芸家として、お椀から建物まで、幅広い工芸活動を行われています。一方で、植林活動を積極的に行い、地球環境における森林生態系の重要性を提唱し、NPOドングリの会会長、日本環境教育フォーラム常務理事としても活躍されております。
http://www.oakv.co.jp/main.html

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