NEC Enpowered by Innovation IT、で、エコ
NEC環境フォーラム2003 Archives

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基調講演
ITがもたらす持続可能な社会へのビジョン

2003年11月18日
NEC代表取締役副社長 杉山 峯夫
現代社会の状況認識〜環境対応が不可欠な時代へ〜
 現在使用されている主要な鉱物資源を今のまま使い続けると、極めて短時間で枯渇するといわれています。ここ50年間の世界経済を見てみると、1950年には全世界のGDPが6兆ドルで、これが2000年には43兆ドルと7倍に増えています。この増大する経済規模が現在の繁栄を支えているわけですが、その50年間で森林は1/2に縮小し、耕地の表土の1/3が流出。さらに、放牧地の1/2が砂漠化し、漁場、種の絶滅等々、目の前に多くの危機が迫っています。現在、地球の人口は61億人と言われていますが、2050年には89億人に増大します。過去50年間のペースで自然破壊が続けば、地球および人類は大変な問題と直面することは目に見えています。

 こうした地球レベルでの持続不可能な状況への危機意識から、社会経済システムの変革の必要性が叫ばれています。具体的には、経済優先から環境優先への価値観の転換、また再生可能な新しいエネルギーの開発、新しい素材への技術革新、また法並びに税制、インフラ整備等の社会制度、システムの転換、こうした要素を組み合わせていくことが、持続可能な社会づくりへのキーポイントとなるはずです。特に現在の開発途上国が、今まで我々が歩んだ高度成長の時代と全く同じ道を歩むと、自然破壊の加速はより一層厳しくなり、それを経験した先進国が、いくつかの環境問題の技術・知恵を開発途上国へ提供していくことも大変重要なのです。
社会変革を促すITの進化〜世界をリードする日本の技術〜
 NECでは、昨今、大変急速な進歩を遂げているIT技術を環境問題にどう適用していくかという点に着目し、ITとネットワークを総合したソリューションを提供することを重要な経営課題としてとらえています。また環境問題の解決に対し、この姿勢で取り組むべきことが多々あるという認識をもっているのです。さて、日本において最近のIT事業がどのように急速に進んでいるかという点に目を向けてみましょう。平成14年末の日本全国のインターネット利用者は約7,000万人。1億2000万人の人口の半分強が、既にインターネットを経験し、なかでもブロードバンド体験者は約2,000万人に達していて、これが17年末には8,892万人、そのうちの約6,000万人がブロードバンドを利用するであると予想されています。さらに、日本が世界より進んでいるもう1つの分野が、モバイルのインターネットへのアクセスといえます。電話の契約数を見ると、既に固定電話を携帯電話が追い越し、現時点で携帯電話の加入者が固定電話の約1.3倍に達しました。携帯電話利用者の中で、インターネットにアクセスしている人の比率は、今年の9月時点で79.2%を越えており、韓国の約75%、そのほか中国、ドイツ、フランスに比べ、その比率は著しく増えています。あわせて携帯端末の技術が大変進んでおり、現在、最も進んだタイプは、中に入っているソフトウェアのライン数が2メガライン(2MB)という膨大な数値を誇っています。

 ハードウェアの技術、並びにソフトウェア、サービスの技術の進展にともない、現在、日本で特に使われている言葉にユビキタスがあります。これは世界中でいつでも、だれでも、どんな端末でもコミュニケーション、情報の交換ができるというコンセプトを一言で言いあらわした言葉であり、このユビキタス社会への先駆けは、日本からスタートできるものだと考えています。以上のように、ITが特に日本において、大変急速な進歩をしているわけですが、ITの導入効果としては、まず情報流通のコストダウンがあげられ、第2に、作業プロセスの時間短縮、第3に、脱物質化を促進します。また、人・物の移動を削減するため、交通機関等で使用されるエネルギー消費という点でも、有効に働きます。このようにいくつか節約できる分野のムダを排除していくと、新しいビジネスモデルの構築、またビジネススタイルの革新、それに合わせたライフスタイルの変革にも結びつくわけで、これを地道に一人一人が積み重ねることにより、持続可能性、地球の生命をより長く保つための社会が構築できるものと確信しています。
NECが目指す持続可能な経営〜自社の技術を活かし、環境負荷低減に貢献〜
 NECでは、事業に伴う環境負荷、環境リスクを最小限にしていくことを経営方針の重要なポイントとしています。特にITの分野において開発した独自の技術を環境改善のために向けるとどのような効果が出てくるかという観点に立ち、NECの環境経営のコンセプトをつくり上げています。

 現在、NECの事業活動の環境負荷については、2002年度に排出したCOの総量は114万トンであり、京都議定書の目標に合わせて、2010年度に向けてその排出量を100万トン、またはそれ以下に抑えようという目標を立てています。その達成を目指し、重点項目となっているのが、NECの全製品をエコプロダクトという段階へ持っていくことであり、社会全体でCOを減らすことができるITソリューションを拡大することです。これには、継続的な環境負荷の削減、そして全社員の教育効果という点も含まれています。

 エコプロダクトについては、地球規模で気候変動や海面温度変化をシミュレートできる「地球シミュレータ」の開発支援や、広域の環境モニタリングを実現するセンサー端末システムの開発など、NECの技術で環境問題そのものに貢献できる製品・サービスを開発しています。 また、エコプロダクトのための技術開発も燃料電池や低環境負荷材料の開発など、独自に進めています。既にデスクトップの分野においては、水冷式コンピュータを実用化しており、静粛性という点で環境に貢献しています。

 ITを通して社会全体の炭酸ガスの総出量を減らすという点におきましては、例えばITを活用することで会議を効率化し、57%のCOを削減できるというシミュレーションが出ています。さらに社内で受注、生産、出荷までトータルな1つのシステムに置きかえたサプライチェーン・マネジメントを導入したシミュレーションにおいては、2001年度の棚卸しの在庫量、物流、また、機械の使用等をCOに換算すると、半年で約1万トンほどだったものが、2003年の上期までの2年間で、23%の削減できたという結果が得られています。この23%に相当するCOの排出量は約2,100トンであり、NECの全社1年で100万トンという目標数値からすると、その貢献度はかなり大きいものと言えます。ほかにも、例えば、音楽、映画などの配信をオンラインで行うことにより86%も炭酸ガスが減り、インターネットショッピング、電子政府、モバイルのLANでも大変大きな効果が出ます。今後さらにITを進めることによって、社会の環境破壊を相当抑えることができるというコンセプトから、当社では「IT、で、エコ」を推進しています。
持続可能な社会の実現に向けて〜国、社会、企業、個人の改革が必要〜
 持続可能な社会の実現については、冒頭に述べたように、価値観の転換と社会システムの変換のエコデザイン、この2つを組み合わせた方向に進むべきだと思います。これを進めていくための条件ですが、これは一企業が動くこと、また、国が方針を出すだけでは進みません。やはり、人間の社会、そして、資源をどう見ていくか。また、技術をどう磨くか。この3つをともえになって進める必要があるわけです。つまり、ムダのない社会をどうつくり上げていくかということが大変重要なのです。また、持続可能な社会に向けた変革の方向という点においては、高度成長時期の大量生産、大量消費、大量廃棄、一極集中というものから、食糧、物、エネルギーまでを含め、個人みずからが、それに対する取り組みを考え、進めなければならないのです。
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11月18日(火)
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